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緑内障

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    現在、「緑内障」という言葉は、「眼圧の上昇」と「視神経の障害」という2つの意味で使われています。両者を混同せずに理解することが重要です。

    眼圧の上昇

    眼圧とは

    眼圧とは眼の中の圧力のことで、眼の丸いかたちを保ったり、血液の流れなどを一定に維持したりする働きを持っています。眼圧は、眼の中の水(房水)が作られる量(in)と流れ出る量(out)のバランスで決まります。眼圧はその人ごとに違いますが、一般に正常の人の眼圧は10~21 mmHgの範囲にありますので、18 mmHg以上の場合に「眼圧が高め」、22 mmHgの場合に「眼圧が高い」という場合が多いようです。

    眼圧の測定

    光干渉断層計(OCT)

    眼圧の測定には、眼に瞬間的に空気をあててそれによる眼の変形どあいで眼圧を測る「ノンコンタクト眼圧計」と眼に直接触って眼圧をはかる「圧平式眼圧計」があります。 「ノンコンタクト眼圧計」は簡単に眼圧を測ることができるので、患者さんの「だいたいの眼圧」を知ることには役に立ちますので、最初の眼科検査のひとつとして行っています。しかし、緑内障の患者さんの診断や経過観察の際には、「ノンコンタクト眼圧計」は不正確なこともあるので、より正確な「圧平式眼圧計」による眼圧測定が必要になります。

    ひとりの人の眼圧はいつも一定というわけではなく、わずかな変動を繰り返しています。1日(24時間)では深夜から早朝に眼圧が高い人が多く、年間では冬場に眼圧が高い人が多いことが知られています(例外もありますが)。したがって、緑内障の患者さんの眼圧の評価のためには、一回の測定だけでは不十分ですので、数回の異なる日に測定を行いその平均値などを考えることが重要となります。

    眼圧上昇の原因

    眼圧は、眼の中の水の作られる量が多すぎる場合や眼から出ていく水の量が少ない場合に上昇しますが、通常は後者のために上昇することがほとんどです。
    房水が出ていきにくい原因としていろいろな状況が考えられ、それを適切に判断するためには経験を積んだ眼科医による「隅角検査」が必要になります。隅角とは、黒目(角膜)の端の部分の奥にある房水が流れ出ていく部分ですが、隅角が非常に狭かったり、炎症を起こしたり、茶目(虹彩)などの他の組織に覆われていたりすることが眼圧上昇につながります。最近では、眼の上に隅角鏡を直接あてて検査する方法のほかに、光干渉断層計(OCT)などにより隅角の断層写真を撮って検査する方法も使われるようになっています。

    光干渉断層計(OCT)

    図:OCTによる隅角の断層像。眼の水(房水)の流出部である隅角(矢印の部分)が狭いと閉塞隅角緑内障が起こりやすい。

    隅角が非常に狭いために眼圧が上がってくる状況を「閉塞隅角緑内障(または閉塞隅角症)」と呼びます。ほとんど全ての隅角が短時間に閉塞するために眼圧が急激に上昇する「急性閉塞隅角緑内障発作」では、強い眼痛や頭痛、嘔吐などが見られるだけでなく、処置が遅れると失明に至ることもあるため、レーザーや手術などの適切な処置ができる眼科医を直ぐに受診する必要があります。
    このように閉塞隅角緑内障は、一度発症すると困難な状況となることが多いため、予防が非常に重要となります。リスクファクターとして「高齢者」、「女性」という要因の他に、「遠視(=若い時にはメガネを使わなくてもよく見えた)」の人に閉塞隅角緑内障が多いことが知られています。そのような方は眼科を一度受診し、閉塞隅角緑内障の可能性について尋ねておくことをお勧めします。
    眼圧上昇の原因を確定することは、一見簡単なようで、実は難しい病態が隠れていることが少なくありません。隅角検査やOCTなどさまざまな検査を通して慎重に判断していくことが求められます(これは患者さんではわかりませんので、眼科医が気をつけるべきことですが)。

    眼圧上昇に対する治療

    このように、眼圧上昇には様々な原因が考えられので、まずその原因を適切に診断し、それぞれに応じた適切な対処を行うことが求められます。閉塞隅角緑内障による眼圧上昇ならば、レーザー虹彩切除術や水晶体除去術などにより劇的に眼圧が下降することが期待できます。また、糖尿病などで隅角に新生血管網などが張って眼圧が上昇することがありますが、その場合には糖尿病網膜症に対する網膜光凝固術などが最初に行われます。
    隅角などに明らかな眼圧上昇の原因がみられない場合には、原則として、房水の産生を減らすような点眼薬(各種あります)を使い、その効果が不十分な場合には、手術が必要になることもあります。
    このように眼圧上昇に対しては、その原因を迅速・確実に判断し、適切な治療法を選択することが求められますが、そのあたりが眼科医(緑内障専門医)の腕の見せどころということになります。

    視神経の障害

    視神経とは

    人間は眼球の奥にある網膜で光を感じ、その信号を脳に送ることにより「ものを見て」います。その際に、眼球から脳をつなぎ信号を伝えるのが視神経です。正常な眼では、視神経は約500万本の細い神経線維の束によりなっています。(慢性の)緑内障は、この神経線維がゆっくり減ってくる病気です。

    光干渉断層計(OCT)

    図:光干渉断層計(OCT)による視神経乳頭の断面図。緑内障では、網膜の最表層の神経線維層(矢印に囲まれた部分)が徐々に薄くなってきます。

    視神経障害の原因

    視神経が障害される病気は緑内障だけではありません。例えば、視神経の炎症(視神経炎)、視神経へ流れている血管の閉塞(虚血性視神経症)、頭の中の腫瘍や血管による視神経の圧迫、などいろいろな原因がありえます。したがって、緑内障の診断の際には、これらの可能性をひとつずつ丁寧に除外していくことが必要です。
    緑内障では視神経が徐々に障害されていきますが、その真の原因はいまだはっきりしていません。眼圧が高いと、(おそらくは視神経が圧迫されるため)視神経障害が起こることがわかっていますので、高眼圧が緑内障の原因のひとつであることは確かです。しかし、眼圧が高くなくても緑内障になる患者さん(正常眼圧緑内障)が多いことも明らかになっているので、眼圧以外にも緑内障の原因があるはずです。視神経への血流障害、視神経のねじれや引っ張りなどの機械的障害、視神経に対する毒性物質、など多くの原因が考えられていますが、いまのところこれらの眼圧以外の原因については確実な証拠は見つかっていません。同じ緑内障でも、患者さんごとに視神経障害の原因はさまざまである可能性も考えられています。

    視神経障害の治療

    視神経障害の原因として緑内障以外のものが見つかった場合には、当然、それに対する治療を早急に行います。
    緑内障の視神経障害に対して確実な治療法は、現在のところ「眼圧を下げることだけ」です。眼圧が高い緑内障で眼圧を下げることが重要なことは明らかですが、正常眼圧緑内障でも、その患者さんの治療前のもとの眼圧(ベースライン眼圧といいます)から眼圧をより下げることで、緑内障の進行をある程度は抑えられることが確認されています。
    眼圧下降以外の緑内障の治療として、「神経保護治療」や「血流改善治療」なども期待されています。それらは、東大講師時代の私(富所)の主要な研究テーマのひとつでしたが、残念ながら、確実な効果が確認されているとは今のところ言えません。一方で、カルシウム拮抗薬やスタチンなど、緑内障に対する効果が「かなり期待される」薬もありますので、眼圧を下げても緑内障が進行する患者さんなどに対して処方することもあります。しかしその際には、各薬剤の副作用などに十分注意を払う必要がありますので、安易な使用はお勧めできません。十分な経験を持った緑内障の専門医に相談してください。


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